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モデルスリップウェイ社の「エンボイ級タグボート」の製作(その1)


岡山県玉野市 遠藤様)

子供のころから模型製作が好きでしたが、当時は作りたくても費用がかかりすぎて手が出ませんでした。ようやく少し時間も取れるようになって、知人から勧められたこともあり、何か船を作りたいと考えるようになりました。いろいろWEBサイトを調べて面白そうな船を捜しました。最終的に、力強い姿のタグボートに決めました。あまり近代的なタグボートではない、英国、Model Slipway社の「エンボイ級タグボート」を購入しました。動力はモーターではなく、蒸気機関を使います。

全長1108mm、幅248mm、排水量11.5kg、船体はFEPの組立キットです。製作のための資料は、原寸大の図面が2枚、説明冊子が1冊入っています。が、詳細の部分については説明はありません。蒸気機関を採用したこともあり、かなり手ごわいキットという感じです。

まず、エンジンとボイラ、バーナがきちんと船体に収まるのかを原寸大の図面をもとに検討するところから始まりました。

ボイラが煙突の位置から必然的に置ける場所が決まってしまうので、バーナも決まります。問題は蒸気機関(斉藤製作所)の位置です。このキットでは甲板の取外しが前部甲板に2箇所、後部に2箇所ありますが、機関が設置される後部の開口部であるハッチの位置は、図を見て分かるようにシリンダはなんとかハッチの中に納まるものの、油だまり(写真の黄色部分)ははみ出してしまうのです。どうやらエンジンはここにしか置けないようなので、油だまりはエンジン購入時の位置から反対側となる船尾側になんとか移動させることにして、船体の製作を進めることにしました。

上の写真はキットに入っているスチロール板ではなく、厚紙で全後部甲板を作ってみたものです。

これを見ると分かるように、動力が蒸気機関の場合には、完成後に蒸気機関、ボイラ、バーナへのアクセスがきわめて難しい作り方となっています。さて、これをどう変更するか、図面を見ながら、現物を見ながら、じっくり検討することにしました。

船体がFRPですから、とくに船体の上部はかなり本来の形状とは異なっています。そこでキットの甲板の大きさを元に、正しい船体形状となるよう必要な場所には木製の桁を入れて形状を矯正したうえで、甲板を船体へ取り付ける部分の形状を薄いヒノキ材を使って形取ることにしました。(上記の写真参照)。

この型から、船体の船首方向、船尾方向へのそり具合を知ることができます。図面にはこういう細かい断面形状まで描いていないので、現物から測ることが一番確かです。

型の形状を船体から取り外しても保てるように、中央には補強材を追加します。これで船体から取り外しても、正しい形状が保たれます。

上の写真は、前部乾板の船体への取り付け形状型を使って、甲板を形成するための前後方向の梁(3mmシナベニヤ)と左右方向の円弧状のリブ(3mmシナベニヤ)を組立ててボンドで接着したところです。これを後部甲板についても同様に行います。前部、後部ともにかなり前後方向に円弧状になっており、しかも左右にも円弧状となっていることがわかりました。オリジナルキットに入っている薄いスチロール板1枚で正確に形作ることは無理があります。そこで、形作った甲板の梁に、厚さ3mmx幅8mmのヒノキ板を前後方向に張詰めることで甲板を形成することにしました。

3mm8mmのヒノキ板を敷き詰めて形成した甲板を船体にはめ込んだところ

上の写真は甲板の裏側の桁板を示します。

作りながら、WEBサイトに何か模型船を制作する参考になる記事がないか、相当探しましたが結局、「エンボイ級タグボート」で、しかも動力が蒸気機関のものは皆無でした、自分で作り方を考えながら勧めるしかないようです。愛好家が飛行機やヘリコプターに比べて、非常に少ない現状を端的に現している気がします。なお、上記の甲板は最終的に船体に取り付けるものではありません。
(以下次回に続く)



とても丁寧な製作記事をご投稿頂きまして誠にありがとうございます。
大変貴重な資料を有難うございました。




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