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モデルスリップウェイ社の「エンボイ級タグボート」の製作(その2)


岡山県玉野市 遠藤様)


甲板製作は一休みして、船体がFRPなので歪を確認し必要ならば修正することにします。このときに役立つのがすでに作成した木製の甲板です。この甲板の幅が正しい船体幅となるので実際に装着します。FRP船体は中央部が外に広がっており、とくに中央部の上部についてはかなり両舷とも外側に広がっていることが分かったので木製の棒を使って正しい形状になるよう矯正しました。

船体の矯正が終わったので、次は船尾管(スターンチューブ)用の穴をあけることにします。まずは図面から正しい水平を保つように調整します。船台はボルトで上下左右の位置が調整できるようなものを作ったので、それを利用して船体の位置を決めました。ドリルで穴をあけるのですが、水平に穴があけられるように写真のような簡単な治具を木で作りました。最初は3mm程度の小さな穴からあけ、その後は徐々に大きな穴にしていきましたが、電気ドリルではパワーがありすぎFRPが割れてしまう恐れがあります。ハンドリーマと丸やすりを併用するのが無難です。

スターンチューブ用の穴があいたので、エンジンを仮に置いてみて据付方法の参考にすることにします。

ユニバーサルジョイントを介してエンジンを仮置きしてみると、船底との隙間はかなり少ないのですが、なんとかエンジンを取り付けられるだろうと思われます。写真でエンジンの下に敷いてあるのは厚さ6mmのアルミ板です。

さて、甲板の製作に戻ります。前回の報告で作成した甲板は実はこれから薄いシナベニヤを積層して製作する甲板のいわば型として利用するものです。キットにはスチレン製の甲板材料がもちろん入っていますが、大きな開口部を確保したいので、これらを使わないで1.1mm厚のシナベニヤを積層することで甲板を作ることにします。ただし図面はないので、すべてが現物合わせの作業となります。イメージとしては手書きですが下記のようになります。

キットに入っている説明書を使って、どれだけの部分が取り外せるかを描くと下図のようになります。

手順として、まずは型となる甲板の上で接着剤(ボンド)を使い積層して、だいたいの形(外側は大き目にしておき、現物あわせで削ります)を形成します。その後、その下に桁となる補強部分をこれも現物あわせで作っていきました。型に沿わせて薄い板を重ねて接着していくので、ボンドが乾燥すればほぼ正しい甲板の曲面を再現することができます。後部甲板は開口部を大きくすることは簡単ですが、問題は前部甲板です。オリジナルの取外し可能な前部甲板には、船橋部分、煙突、救命ボートそして木製のデッキプレートとマストなどが乗っています。特に木製デッキが左右に伸びて船体の固定部分甲板の上に浮いた状態で乗っているのは、いかにもおかしいので甲板を一体化するときには他の甲板上面と同一面になるようにしました。そして脱着のときに問題となるのがマストなどから張られたケーブル類と前部甲板の後ろ側端にある手すりです。脱着のたびにケーブル端をいちいち船体から取外し取り付けをしたり、手すりを壊さないように気を使うことがないように、船橋から後ろはすべて一体で取り外せるようにしました。写真は積層甲板を製作している様子で、上板をこのように整形してから、この甲板の下側となる補強材を接着します。

(以下次回に続く)


遠藤様のこの船に対する愛情が伝わってくるような製作風景ですね。
大変貴重な資料を有難うございました。



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