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モデルスリップウェイ社の「エンボイ級タグボート」の製作(その6)


岡山県玉野市 遠藤様)

ようやく船体、甲板の塗装です。塗料については一般的に使われているのは2液性ウレタン塗料のようですが、取り扱いが面倒なことから、あえてこれを使いませんでした。使ったのは下の写真左にある合成樹脂塗料(水性)で用途は一般建築材用です。ほとんどの模型船がウレタン塗料でぴかぴか光っていますが、自分の模型船では全つや消しで作りたかったのです。なんとか最初からつや消しで、しかも取り扱いが容易な塗料がないかと探していたところ、こういうものを使っていると教えていただく機会があり、思い切って使ってみました。商品名はカンペ アレスアーチで、500cc缶入り2本で船体、甲板上の船橋、他の機材を白色スプレー塗装しても十分余り、しかも安価で大変経済的です。色もけっこう揃っています。そして最終的に左の写真左端にあるワシンペイントの水性ウレタンニス(つや消しクリヤー)を何回もスプレーで吹き付けました。確かに塗装した表面が丈夫なウレタンに比べて、ちょっとしたことではがれやすいのですが、補修すればいいことと割り切って、全体を「つや消し」調で通すことを最重視しました。右が船体と甲板の塗装状況です。全体を白で塗装し、喫水の白いラインを残すように喫水から下、喫水から上と塗りました。
船体と甲板が出来上がったので、その上の船橋などの製作に取り掛かります。キットでは船橋の本体は2つのFRP部品となっており、それを組み合わせてひとつの船橋を作るのですが、肉厚部分を削ったり、内側を滑らかにしなければなりませんので、手間がかかります。キットでは板張り部分は黒い線をプリントした合板ですが、日曜大工店で売っている薄いマホガニー材を使い、実際に細かく敷き詰めました。
20095月中旬に、たまたま小さなプールで走らせる機会があったので、ホワイトメタルなどの重作りながらアイデアが沸いたらキットの説明書どおりに作るのではなく、どんどん自分流に変えていく作り方をしています。下の写真の左は船橋の板張り部分ですが、蒸気エンジンを搭載しますからバーナーへの空気が十分に供給できるよう改造しました。キットの図面を見ると板張りは機材が乗らない面積がけっこうあるので、左右とも大きく切り欠きました。そして運転するときだけ、この板を取り外すことで大きな開口部を作ることができました。板を敷き詰めたあとに切り取るために、市販の小型のこぎり先端を切り取ることで、最初の切り込みが小さくて済むように工夫したのこぎりです。カッターで切り欠くには板が厚いため(薄いマホガニー板の下にはシナベニヤを敷いていますので)重宝しました。丸のこではのこぎり刃を通すため、きれいにくりぬくことができません。右の写真はキットにはない、船橋部分のリベット止めを再現したものです。これは、キットメーカーの英国ModelSlipwayに実際の船の製作図面を手に入れたいと問い合わせしたところ、英国海事博物館で購入できることを教えてもらい、実際の造船所での製造図面を手に入れることができました。その図面には船橋が甲板にこの写真のようにリベット止めされていました。48分の1モデルでは、リベットの頭などは小さくなりすぎるので無視されています。これを再現することで、よりリアリティが出ますので実際の寸法よりは大きくなるのですが、あえて再現しました。

この船は船体の鉄板も当然、リベット止めされているのですがキットのFRPでは小さくなりすぎるので無視されています。Jotika社のIMARAがほぼ同じ模型全長で32分の1ですから、IMARAでは船体のリベットからFRPで表現されています。 このENVOY48分の1なので省略されているようです。船体のリベットはあとから再現しようと思えば、小さな丸頭しんちゅうくぎをFRPに打ち込むことで再現は可能なのですが、これは無視することにしました。相当な数の穴を手であけなければならないので。

このリベットをどう再現するか、ネットでその方法を調べました。まずはきわめて小さな丸頭しんちゅうくぎがあれば、FRPに小さな穴を開けることで簡単に再現可能と思い、その極小しんちゅうくぎを探しました。ようやく見つけたのがドールハウス製作部品として販売されているもので、なんと

丸頭外形は1mm、その首下長さが2.4mm、くぎの部分の直径はわずか0.5mmというしんちゅうくぎを見つけ、さっそく購入しました。0.5mm直径の穴なら、なんとか手で開けることができます。

下の写真の右側がその極小くぎです。しかし、船橋であるFRP側にはこのくぎを打ち込めばOKですが、甲板側は(船橋は取外し可能としますので)くぎの下が出てはまずいのでカットしました。これらの穴あけはすべて一つづつ手で開けました。気が遠くなる作業ですが、せざるを得ません。

そのうち、ネットでリベットを再現する別の方法を見つけました。それが下の写真左側にある、これまたきわめて小さなポンチのようなミルタガネというものです。購入した先端の直径はいろいろで、0.5mm0.7mm0.8mm1.0mm1.2mm1.3mm、そして先端は半球状に凹んでいます。薄い塩ビ板で試行錯誤しました。塩ビの板圧が0.5mmなので、一番小さな0.5mmで塩ビを打ち込むと、裏側にちょうど直径1mm程度のリベットの頭が再現できました。これまたすべて手で打ち込みますから、その力の入り具合で裏に出る高さが変わってしまうので、ある程度高さ(=直径)が揃うまでは練習が必要です。写真の左側に白く2本見えているのが、塩ビの板で、表面にリベット頭(もどき)が見えます。この方法を使うことで0.5mmのドリルで穴をあけて、さらにしんちゅうくぎを打ち込む手間が不要となりますし、慣れればその製作スピードも格段に速くなります。

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