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モデルスリップウェイ社の「エンボイ級タグボート」の製作(その5)


岡山県玉野市 遠藤様)

「エンボイ級タグボート」の製作(その5)

下の写真はFRP製船体の歪みなどを修正したあと、側面の窓穴を開けているところです。左の図に示した船体中央部分Aについては、左右ともに大きく外側に変形しており(図の赤い点線)これは補修用FRP2液性エポキシ接着剤を適宜使用して新しい側面を形成して修正することにしました。またBCの船体内側の表面は非常に荒いため、自動車のバンパー補修用の白い2液性パテで修正しました。この作業は大変根気の要る時間がかかる作業で、修正しては甲板の形状と合わせて、甲板の外側に沿っていないところをまたパテで修正します。写真で見るとオリジナルのFRP部分は白いのですが、接着剤で修正したところは少しクリーム色となっている部分です。船体中央部分の上はオリジナルのFRPがなくなっており、オリジナルの形状が大きく変形していたことが分かります。窓の丸穴は電気ドリルを使うと割れてしまうので、ハンドリーマを使い注意深く開けます。

下の写真は、ボイラーとバーナ用台、およびエンジンを船底に固定するためのボルトを製作しているところです。一般家庭で使用でき、普通の金属加工であれば問題なく使える安価な旋盤を持っていますので、それを使って加工しました。ねじ込むときに指でできるように頭は直径を大きくしてローレット加工します。ねじ切りはダイスを手で回すと細いものでは、まっすぐにねじを切ることはできないので、ダイスを旋盤で使える要具も自作しています。写真のアルミのローレット加工したものとその下の真鍮部品がそれです。左の写真は旋盤にこのねじ切り要具を取付けたところ。旋盤の回転軸jは動かさないで、この要具を手で回してねじを切ります。

20095月中旬に、たまたま小さなプールで走らせる機会があったので、ホワイトメタルなどの重量部品もキットに入っていた袋のまま乗せて走らせてみたのが下の写真です。甲板などもあるので別に錘も乗せています。喫水の高さも確認でき、十分な重量を搭載できることが分かりました。走らせると船尾は思った以上に沈み込むことも確認できました。やはりロングストロークなので回転数が低いことと、直径70mmの大型プロペラのためか、かなり推進力には余裕がありそうです。

走行テストの時には、なんとか蒸気で走らせることができるよう、ボイラの調整弁を動かすのに暫定的なリンクでしのぎましたが、ここで最終的にどういう機構にするか決めます。左が最初に作ったボイラ本体だけを頼りに付けたリンクです。これは中央の調整弁そのものにアルミの厚板を使っています。ボイラの調整弁本体下部は丸いので、アルミ板に穴あけしてから穴を中心に2つに切断し2本のボルトで締め付けています。しかし、これでは調整弁を中心とした円周方向の拘束力が不足し、大きな力がロッドにかかると全体が回ってしまうので、最終的には右にあるようにボイラ取り付けねじを利用して、真鍮厚板に2本の真鍮製柱を立てリンク部分を固定しました。下に見えるアームがリンクロッドにつながり、このロッドは写真右方向の船尾までの長いものとなります。このアームは2本の真鍮柱の間にあるため、調整弁が開きすぎるのを機械的にストップさせる役目も果たします。この長いロッドは直接、サーボにはつながず、直前でもうひとつの中継点を介する構造としました。小さなフライス盤も持っていますので、こういう金属の小物部品も自分で製作することができ、思うような機構、部品を簡単に作ることができ、あれば大変便利です。

下の写真はようやく船体の歪み修正用梁と船底の固定部材取り付けが完了したところです。エンジン、ボイラーともに船底までの高さの余裕がほとんどないので、水平な木製の板を取り付けるスペースはありません。赤い線がそれぞれ真鍮製のエンジンとボイラー・バーナー取り付け台の輪郭となります。

下左の写真は船尾管部分で、赤く囲った部分にはサーボモータ4個をアルミ板に取り付け、そのアルミ板を木製の梁にねじ止めします。垂直に出ている管は船尾管内のグリス注入用のものです。グリスが回転部分から漏れ出す可能性があるので、飛び散らないように木の枠で囲って、上を透明塩化ビニル板で覆ってあります。右はビルジキールを取付けたところですが、走行中の接触で破損しないように十分な量のパテで、付け根を丸く肉盛りすることで補強してあります。

ここまでで、すでに作り出して半年を経過しましたが、普段は会社勤めをしながら製作していますので、これくらいはかかるものと考えています。

(以下次回に続く)

大変貴重な資料を有難うございました。



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