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モデルスリップウェイ社の「エンボイ級タグボート」の製作(その9)


岡山県玉野市 遠藤様)

「エンボイ級タグボート」の製作(その9)

煙突の付属部品である配管を取り付けた写真が左側です。この配管もキットでは2.3mmの銅棒ですが(英国の材料なのでインチサイズと思われます)、しんちゅうパイプで自作しました。外径が3mmのものを使ったので取り付け用の金具もエッチングパーツは使えないため、自作です。さらにこのパイプを甲板に差し込むところには小さなフランジを自作して取り付けました。これで、取外し可能型の煙突は差込み部分の甲板側塗装がはがれても、目立つことはありません。煙突本体のフランジの甲板側にはボルトの浮き出しが鋳物の状態でついていますが、煙突側には小さなくぼみがあるだけです。ここも極小しんちゅう釘を使ってそれらしくしてあります。煙突本体を甲板に固定するのは、首尾方向につけた金具にネジで締め付ける構造にしました。右はマストなども取り付けた状態です。前後のマストも取外し可能型にしてあります。

作っていくうちに、いよいよ面倒なところが残ってきました。まずはリギング(ロープ張り)です。みなさんはリギングの両端をどう処理されているのでしょうか。よく見かけるのが片方(甲板側)に見るからに直径の大きなバネを使って、張力を保つ方法かと思います。そしてバネ側は金具に引っ掛けることでいいのですが、反対側はどう止めているのでしょう?私はこの紐の端の処理について、どういう方法が一番やりやすいか、また見た目がスマートか、経験がないので相当考えました。

紐の片方を単に、こま結びで止めるのでは不恰好です。スマートに止めるのに何か良いものがないか探しました。ひとつの方法として、熱収縮ビニール管を使う方法があります。ドライヤーなどで加熱すると収縮して直径がかなり小さくなります。しかし、これは内径が2mmの配線ケーブル用までしかなく、今回のような船のリギングとして使う糸では、2本通しただけでは加熱で収縮しても簡単に抜けてしまい、止めることはできないので使えません。そこで考えたのが上に示した写真の方法です。それは日曜大工店などで売っている12芯の平行コードのビニール被覆を片方だけにして中の電線を抜いて、外側の被覆だけを利用する方法です。中の電線を抜くと内径は約0.5mm程度です。私がリギングで使う糸は外径が0.4mm程度なので、これを2本通すことができれば、それだけで糸は止まるだろうと考えました。しかし、糸を2本同時に通すことはできませんので(1本でも通らない)、通すために直径0.25mm程度の細い銅線を使いました。写真のように銅線を半分に折って、2本になっているほうを1本づつ被覆に通し、反対側の輪になっているほうに糸を通します。これで、被覆を持って銅線の2本になっているほうを強く引くことで糸が被覆を通過します。通過したあとは、ちょっとした力では糸は被覆を抜けることはありません。(接着剤は不要なので、取り付け後も簡単に張力調整ができます。)この被覆は外径約1.5mmしかありませんので、外観もスマートになります。糸をたるませないためのバネも、太いものではなく手作業できる限界の小さなものを探しました。今回使用したものは外径わずか1.5mmです。1mmのバネもあるのですが、さすがにこの寸法になると細工は困難となります。これらを使うことでかなりスマートなリギング処理が可能です。私はほとんどのリギング糸の両端にこのバネを使用しています。こうすることで、一度リギングを完了しても、後から糸の両端を外すときには両端のバネを金具から簡単に取り外すことができます。

さて、次に作らねばならないのは手すりです。キットにはエッチングパーツとして手すりの支柱が含まれていましたが、ここでもこれは使用しませんでした。理由は強度がないということと、実際にこれを使って水平にしんちゅう棒を通して半田付けしようとしても、板ですから方向を一定にしなければならず、これが面倒だからでした。写真に示しますが、最初は細い材料で作ってみましたが、弱そうなので、せっかく作ったものの没としました。最終的には右の写真の材料で作りました。

手すりを製作するときには実際に取り付けるものの上ではなく、ダミーのべニヤで作った甲板の上で行います。(塗装済みで汚れるため)

支柱に使ったしんちゅうパイプは外径1.6mmで、そこに0.8mmのしんちゅう棒を差し込むための穴をあけなければなりません。これは専用要具がなければできないことなので、下の写真のような穴あけ要具を作りました。(左の写真は最初に作った手すり用です)水平方向に2本のしんちゅう棒を通すので、この2箇所の穴の位置をそろえるため、穴位置決め用のピンを挿して上下の高さ方向だけでなく、回転方向も向きを合わせないといけません。要具本体はアルミで作っておりますから、何回か穴あけしていくうちに、そのガイド穴が大きくなってしまいます。そこで写真右のようにガイド穴にしんちゅうパイプを挿しんだものを作りました。この要具を使ってもなかなかうまくあけることは難しいものです。支柱用の小さな座も手作りです。

手すりについても、取り付けは接着剤を使わず、差し込むだけにしました。説明書どおりに薄いスチレン板の甲板では難しいでしょうが、私の場合はベニヤ板を使っていますから厚さが十分あるので、こうしておいたほうが破損してもメンテナンスが容易です。

次の写真は救命ゴムボートです。右側の写真にある左の水色のもの2つがキット付属のプラスチック整形品に塗装したものです(2つが裏表になっています)。しかし、これもロープぷと板の質感が良くないので、結局バルサ材を切り出してボート本体を作り、床の板はマホガニー材で作りました。右写真で一番右にある水色のものは、ゴムの本体をエアホースの細いもので作ってみたものですが、ボートらしい曲がり具合にできなかったので、これも没としました。


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